ISO50001取得のメリット

エネルギーマネジメントシステムの規格であるISO50001取得のメリットについては、ISO50001発行の経緯や背景からも読み取れると思いますが、具体的には以下のようなものがあります。

●改正省エネルギー法への対応
「省エネルギー法」により、例えば、工場・事業場分野においては、従来対象となっていたエネルギー使用量の多い工場や事務所での省エネルギー対策は確かに進みましたが、対象となっていないオフィス・商業・サービス業などでのエネルギー使用量は増加してしまいました。

そこで、「改正省エネルギー法」では、拠点が分散していても「合計」した場合には、エネルギー使用量が多い分野の省エネルギー対策を進めることを目的として、従来、工場、事業場、営業所など、個別に規定使用量を超えている場所を届出の対象としていたのに対し、企業全体での使用量で届出対象を判断する「事業者単位」にすることとなり、より厳しい内容となっています。

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より大きな規模でエネルギーを使用している事業場は、工場、事業場ごとに「エネルギー管理者」や「エネルギー管理員」を使用規模に応じた人数の任命や、定期報告書には、内訳として工場・事業場のエネルギー使用量を含めるなどが義務付けられており、活動には多くの人手や努力が必要となります。

「省エネルギー法」は国の法律であり、義務であるため、各「部門」での当然の仕事で、「やって当たり前、やらなければ処罰」といった企業内責任者、関係者の立場からすれば、なかなか前向きに捉えることが出来ない場合が多々見受けられます。

ISO50001 の場合、エネルギーマネジメントシステムの確立と運用は義務ではなく「自主的な取り組み」であり、各部門での仕事ではなく「経営陣を巻き込んだ全社活動」となり、一部門のみの責任といった活動ではなくなります。
またPDCAサイクルを基盤として、「根本原因からの計画の策定」「実施と運用」「パフォーマンスの監視」「マネジメントレビュー」を行うことにより、目標達成が早期に的確に実現することができるようになります。
その結果として「省エネルギー法」で求められている要員や報告書の提出などが確実に、そして全社活動として前向きに対応することが可能となります。

●国内排出量取引制度の導入に向けた準備
「国内排出量取引制度」とは、CO2の排出枠を市場で取引する仕組みであり、国に先駆けて、2010年4月より東京都が義務化をし、罰則規定も設けています。現在、対象事業所は、燃料、熱及び電気等のエネルギー使用量が、原油換算で年間1500キロリットル以上の大規模企業に限定されていますが、今後、ますます広がりを見せるものと思われます。
国排出量取引制度に対応するためには、一定のルールに従った、正確なデータ収集、算定、集計体制等の確立が必要であり、ISO50001 のエネルギーマネジメントシステムを用いることにより対応が可能となります。

●正確な環境パフォーマンスデータの開示
「環境パフォーマンスデータの開示」とは、現在、既に多くの企業が取り組みをしている、二酸化炭素の見える化である「カーボンマネジメント」や、ステークホルダーからの省エネルギー活動等に関するデータの開示要求にこたえることです。ISO50001のエネルギーマネジメントシステムにより正確な環境パフォーマンスデータを策定する体制が構築することができるので、自信を持って、データの開示にもこたえることが可能となります。

●エネルギー効率の改善効果
ISO50001のエネルギーマネジメントシステムを確立することにより、「燃料費」、「電気・ガス料金」、「環境対策費用」等について、大幅なコスト削減が可能となり、企業の収益に大きく貢献することになります。また、「温室効果ガス排出量の削減」や「エネルギー効率の法的な目標」を達成することにもなり、社会的な評価や、ステークホルダーの信頼のアップにもつながります。

●第三者認証による客観的評価
ISO50001を認証取得するということは、客観的に第三者である認証機関により、「適切に規格の要求事項に合致したエネルギーマネジメントシステムを構築しPDCAを回しています。」と証明されたということです。ISO50001 の取得をすることは、適切なエネルギーマネジメントシステムを構築、運用していることを、非常にわかりやすく開示することであり、ステークホルダーに対して、より高い安心と信頼感を与えることが可能となります。
 

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