PDCA -Plan- 「エネルギーレビュー」の実施

「エネルギーレビュー」とは、データやその他の情報に基づいて、組織のエネルギーパフォーマンスを決定し、改善の機会の特定を導くことです。すなわち「エネルギーパフォーマンスの改善対象」を決定するための大変に重要なプロセスであり、EnMSの核であるとも言えます。

具体的には、現在、過去、将来において使用されるエネルギーの種類や利用方式とその使用量を分析し、エネルギーパフォーマンスの状況を明らかにすることにより、「改善の対象」を特定するものです。

エネルギーレビューは、Step1.「エネルギー使用及び使用量のデータ分析」、Step2.「著しいエネルギーの使用の領域の特定」、Step3.「エネルギーパフォーマンス改善の機会の特定と記録」の1、2、3の3つのステップで実施します。


Step1. エネルギーの使用及び使用量のデータ分析


ここでは、①「現時点でのエネルギー源の特定」と、②「過去及び現在のエネルギーの使用及び使用量の評価」を行います。

① 現時点でのエネルギー源の特定
現時点でのエネルギー源を特定するということは、現在の設備や装置、システムなどにおいて、どのような種類のエネルギーが使用されているかを明確にすることです。例えば、「あの工場の空調機は、電気で〇〇kWh、コンプレッサーも電気で〇〇kWh、蒸気ボイラーはガスで、○○㎥…」といった具合です。
これを下記のような一覧表に整理してまとめていくことになります。


【エネルギー源一覧表のイメージ】

エネルギー源一覧表.JPG


② 過去及び現在のエネルギーの使用及び使用量の評価
「過去と現在のエネルギーの使用及び使用量の評価」を行うということは、エネルギー使用の用途ごとに、過去と現在のエネルギーの使用量の変化を明確にすることです。ISO50001の規格にある「エネルギーの使用」とは、エネルギーの利用の方法または種類のことを指しており、空調、証明、加熱、冷却、輸送、プロセス、製造ラインが、具体的な例として挙げられています。
なお、エネルギー使用量については、単位が全く異なるため、一覧表にまとめる際には、単位を「原油換算値(Kl)」に統一することにより、エネルギーの種類が変更したり、追加したりしても、過去からの推移、比較等の分析が行えるため、そのようにするのが良いでしょう。


【エネルギー使用・使用量一覧表のイメージ】

エネルギー使用使用量一覧表.JPG


Step2.著しいエネルギーの使用領域の特定


「著しいエネルギーの使用領域の特定」のおける「著しいエネルギーの使用」とは、ISO50001の規格において、「多量のエネルギーの使用量とみなせる及び/又はエネルギーパフォーマンスの改善のために、高い可能性をもつエネルギーの使用のこと」としており、また著しさ(多量または高い可能性)の基準は、組織によって決定されるものであるとしています。
「著しいエネルギーの使用領域の特定」とは、Step1. の「エネルギー使用及び使用量のデータ分析」に基づいて「最も多量のエネルギーを使用している設備、システム、プロセス、要員等の領域」と、「最も省エネルギーの可能性の高い領域(設備、システム、プロセス、要員等)を特定する作業のことです。
またその際、「著しいエネルギーの使用」に影響を及ぼす「その他の関連変数」の特定も行います。

●「その他の関連変数」の特定とは
エネルギーの使用量は、様々な要素により、大きく変化します。
例えば、最も顕著なものとしては「生産量」があります。前年比でエネルギー使用量が大幅に減っていても、生産量が同じように低下しているのかもしれません。また空調設備などの場合には、「外気温」という外部環境の変化により大きく影響を受けることになります。
よって、それぞれ個々の使用領域においてエネルギーの使用量に影響を及ぼす「変数」を特定することは大変に重要な作業となります。

●現在のパフォーマンスの決定と将来の予測
このStep2.では、特定された領域と変数によって、「著しいエネルギー使用に影響を与える設備、システム、プロセスの現在のエネルギーパフォーマンスの決定」と「将来のエネルギーの使用及び使用量の予測」を行います。


Step3. エネルギーパフォーマンス改善の機会の特定と記録


Step1. 「エネルギー使用及び使用量のデータ分析」とStep2.「著しいエネルギーの使用領域の特定」の作業を通して、エネルギーパフォーマンスの改善の機会を特定し、優先順位付けを行います。

改善の機会に対しては、再生可能エネルギーの利用や廃棄エネルギー、その他代替エネルギーの使用の検討も考慮します。


【エネルギーレビューの3Step】

3Stepエネルギーレビュー.jpg